雨のお姫様
雨。雨。雨。
雨の日は寒いの。心が寒くなるの。
どうしてか理由は解らないけれども。
今日は特に寒いです。
こんなに寒い雨の日は、誰かに暖めて欲しかった。
身体の芯まで暖めて欲しかった。
涙。涙。涙。
冷たい涙が、止まりません。
その訳は、あたしだけが知っているのでしょう。
あなたには判らない。
淋しいあたしを包み込んでくれる、そんな期待を裏切って。
あなたはあたしに留めを刺す。
「気の狂ったお姫様は、お城にはずっと戻りませんでした。
なぜならお城はもう無かったからです。」
可哀想な可哀想なお姫様。
哀れな哀れなお姫様。
この雨に口付けを。
最後の最後の口付けを。
微笑みながらお姫様とあたしは息たえました。
あなたには判らない。あなたには関係無い。
1997-1999 創作
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