棘姫
思い出したくないのに
忘れたいのに
彼方はこんなところにまで現れる
私の知らない彼方
変わってしまった彼方
大嫌いな彼方
逃げようとしても鉛のように重たい足
棘のように 私の心に絡み付く
呪われし彼方の幻影
あんなに愛していたのに
あんなに愛していたからこそ
今だ捕らわれるか弱き心 猥らな身体
熱帯夜のせいではない不快な汗
まんじりともせず目覚める白靄の夜明け
棘の呪いをといてくれる方は
愛の口付けを捧げてくれる 王子様
早く私を救ってください
目覚めさせてください
また 棘の魔物に私が攫われないように
1997-1999 創作
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